【報告】短期力動療法入門の会

(この記事はトップページから転記したものです。トップページの記事はしばらくしたら削除いたします。)

GWは特別な遊びをしました。オンラインとはいえ無事に開催できて嬉しかったです。

今回は、臨床経験年数(5〜20年以上)、領域(教育、医療、看護、福祉など)、技法(力動、CBT、ロジャース、EMDR、不特定など)も様々な20名ほどの臨床家のみなさんと「短期力動療法」について学び合いました。男女比も4:5とあまり差がなく、偶然とはいえバランスのよいグループでの開催となりました。

このゆとりなき時代のニーズにあっていそうな「短期力動療法」、私たちにとってはいまだ新しい技法ですが、今回はこれをいち早く紹介してくださった精神分析家の妙木浩之先生にご講義いただきました。

日本でもAEDP(Accelerated Experiential Dynamic Psychotherapy:加速化体験力動療法)のようにトレーニングへのアクセスがしやすい技法もありますのでご興味のある方はぜひウェブサイトをチェックしてみてください。創始者のダイアナ・フォーシャの『人を育む愛着と感情の力』の監訳者の先生方(岩壁茂・花川ゆう子・福島哲夫・沢宮容子・妙木浩之, 2017)の研究に当たってみるのも近道かと思います。

今回はSTDP(短期力動療法)の基盤である精神分析をメインのお仕事としながら、EMDRなど他の心理療法の技法も習得されている精神分析家の妙木浩之先生をお迎えしました。

実はフロイトから始まっていたその歴史(ex.作曲家グスタフ・マーラーの治療)、技法の特徴、治療の実際まで、豊富な資料とビデオを用いてご講義いただいたおかげで、知的な理解にとどまっていた私たちの短期力動療法イメージはかなり具体的、立体的になったような気がします。マランの二つの三角形を作動させることが大事なんですね。ちなみに妙木先生はレヴェンソン系列の短期力動療法(STDP)を長く実践しているそうです。私もトレーニングするならレヴェンソン系がいいと思いました。

講義の前日にはウォーミングアップを兼ねて、CBTと精神分析というお互い名前だけは知っている(内容も知ってはいるけど実践として知らない)というような間柄(=領域)の二人でこの「短期力動療法入門」を素材に語り合ってみました。お迎えしたのは、京都CBTセンター・京都大学大学院医学系研究科 社会健康医学系専攻 健康増進・行動学分野 助教の坂田昌嗣さんです。

CBTセラピストの坂田さんと精神分析家候補生の私は、私が坂田さんを一方的に知っている間柄(セミナー受講生として)だったのですが、私がTwitterで紹介した『短期力動療法入門』に坂田さんが興味を持ってくださり、坂田さんの読み方に興味を持った私が今回のイベントにお付き合いいただけないかとお願いしたという経緯だった気がします。

ちなみに『短期力動療法入門』についてはあまりまとまっていませんがこちらこちらも更新中です。

 坂田さんとは『短期力動療法入門』を読むということで、坂田さんがCBTセラピストとしてこの本から感じたこと、考えたことを教えていただきました。また前もってお渡しした質問にも対話的に答えてくださいました。穏やかながら聞き手の問題意識を掻き立てる明快な指摘に聞き手の私たちも触発され、どの方も日々の臨床から生じた迷いや罪責感などを実感のこもった語り口でお話しくださいました。1日目のこの濃密な共有があったからこそ2日目の妙木先生の講義に対しても「自分の臨床に取り入れていくとしたら」というポジティブな発言が多かったのかもしれません。

 ちなみにテキストは以下の二冊です。

ソロモン他 妙木・飯島(監訳)(2014) 短期力動療法入門.金剛出版

妙木 浩之(2010) 初回面接入門―心理力動フォーミュレーション.岩崎学術出版社


短期力動療法の強みは

「精神分析と同じ深さのプロセスをより促進的におこすことで、同じ効果をより早く患者にもたらす」

ことです。(『心理療法の交差点2』新曜社)

精神分析を提供している心理臨床家は多くないですが、精神分析の知見を取り入れた精神分析的(力動的)な心理療法を提供している方は多くおられます。

精神分析と精神分析的心理療法の違いについてはこちらもご参考までに。

歴史はあるのに技法として選択されるにはとてもマイナーな精神分析、ですが、その知見を有効だと感じ、取り入れて使用する方が多いということはこの技法の潜在的な可能性を示していると私は考えています。

私個人は「精神分析」ではなく「力動的心理療法」を提供する場合、患者やクライエントのニードにミニマムに、シンプルに応えていきたいと考えていて、というより、それが時代のニーズのように感じています。そしてそのときに活用できるのがこの短期力動療法Short-term therapyではないかという感覚は以前からありました。

ただ、これはこれで相当のトレーニングが必要なので、今回他職種や他技法の皆さんと対話し、妙木先生のお話もうかがえたことはその導入について具体的なイメージを描くのに大変示唆的でした。

限られた期間で効果的に無意識を扱う短期力動療法は、精神分析と他のインテンシブな心理療法(認知行動療法など)、また精神分析とエビデンスに基づく実践(EBP)との交差点とも言えます。今回はより様々な臨床家が立ち止まる交差点として機能してくれました。

ところで、私はひとりでオフィスで仕事をしていますが、私にとって開業臨床は精神分析という文化の一部にあって、私のオフィスは同じ路線にあるひとつの駅みたいなものだと思っています。だから「ひとり」と思ってはいませんし、こんな小さな駅で列車がすれ違ったり、待ち合わせたりするのってなんだかいいな、と思っています。特に気ままな旅もままらない今は。今回はCBTとEBPに限らず、特にアプローチを定めていない皆さんと待ち合わせをして一緒に遊ぶように学ぶことができてとても楽しかったです。

精神分析という遊び、そこにはいつも他者が必要で、しかも多様な他者が必要で、今回のような小さなグループでそういう方々と出会えたことはとても幸運でした。

Twitter @amisoffice1 でも準備、当日、終了後に得た学びなどをツイートしております。ご関心のある方はそちらもご覧ください。あまり関係ないことも呟いていますが良い体験を少しでもお裾分けできればと思います。

>ご参加の皆様、坂田さん、妙木先生、どうもありがとうございました。これからも様々な形で対話していけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。

投稿者: おかもとあみ

臨床心理士/日本精神分析協会候補生の岡本亜美と申します。 https://aminooffice.wordpress.com/  https://www.amipa-office.com/index.html

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